第269話もう私を置いて行かないで

そう言って、セリーナはグラスに残っていたワインを飲み干した。

エイドリアンはもともとバーベキューにそれほど興味がなく、タバコも酒も嗜む方ではなかった。今夜はただ、セリーナが楽しそうだったから付き合っているだけだ。

彼は腕時計に目をやった。「シャワーを浴びてくる。ゆっくり食べててくれ」

「うん」

セリーナは頷いた。

やがて、彼の寝室のドアが閉まる音が聞こえた。

セリーナは食事を続けた。だがどういうわけか、串焼きはもうそれほど美味しく感じられなかった。すっかり魅力が失せてしまったのだ。

彼女はそれを静かに平らげると、傍らに置かれたデキャンタに目を向けた。

エイドリアンはボトル一本分...

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